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第5章 超能力トーク(目話)動物たちの叫び
ようやくK動物病院についた。
なかに入るとそこら中から動物の鳴き声が聞こえてきた。
ここでまた洋平は悪いくせを出してしまった。
それは病室のベンチで飼い主にだっこされて、腕に包帯を巻かれているワンちゃんだった。
右瞼4回、左瞼9回、両方瞼35回。
(腕が腫れて痛いよー!ご主人様、医者に連れてきてくれるのはありがたいですが、芸ができないとき腕をぶつのはやめて下さい。お願いします。これ以上叩かれると歩けなくなってしまいます。)
えーーー!この飼い主 DV?
ひどい、ひどい、ひどい・・・・・。
あーーー!動物の言葉がみなわかってしまう。どうしようーーー!
(こいつ、ひどいことしやがって!)
「なにあなた私を睨んでいるの?何か?」
「いえ、動物は人間の持ち物ではありません。私物化するのは辞めた方がいいですよ!!!」
「あなたいきなり何をいうの?」
いえ、すいません。ついワンちゃんの腕がいたそうで・・・。
変な人・・・・・・?。
そして、先ほど道端で出会ったおばさんに1言告げてK動物病院を出た。
あーーー!どうしよう動物の言葉まですべてわかる。すべてわかってしまったら、心と体がもたない。
でも洋平の興味はさらに深まるのであった。
自宅への帰り道に熱帯魚を販売しているお店があった。
洋平はふとそこに寄ってみようと思った。
ガラガラ・・・。
引き戸をあけると沢山の熱帯魚が水槽で泳いでいた。
優雅だな・・・。
早速TRY!
あの赤の熱帯魚がいいや。
左右瞼同時1回 瞼同時2回 瞼同時3回・・・
目が回る・・・。
「餌足りねーよ!もっともっと食わしてくれー!」
き、き、聞こえたーーー!
なんて生意気な熱帯魚なんだ・・・。
どうしよう?瞬きするものはすべて言葉が聞こえてくる。
これってやっぱり「超能力?」
その時はっとアイデアが1つ思い浮かんだ。
そうだ、自分は動物と人間の通訳をやろう!そうすればさっきのようなDV受けているようなワンちゃんも救う事ができるかもしれない。これが自分の天職だ。
それから洋平は毎日いろいろな動物を観察する為に、放課後は近くの動物園に入り浸るようになった。
自宅に帰ると、妹が話しかけてきた。
おにいちゃん、最近明るいね?何かいいことあった?
いや、別に。
えええー!
お兄ちゃんが話した。1年ぶり。奇跡が起きた!
動物園は瞬きの勉強するには、絶好の場所だった。
洋平は、来る日も来る日も動物園に通った。
気が付いた時には「目話日記」なるものが10冊もたまっていた。
それはまるで医者のカルテのように詳細に書かれていた。
例えばぞうの場合、鼻を上げながら右瞬き1回、左瞬き3回は「お腹すいた」という感じで。
ある日妹が洋平の部屋で、その目話日記なるものを見てしまった。
「えええー!なに?これ?」
動物の瞬きの回数とその意味が書いてある。
そして瞬き翻訳一覧表なるものを発見した。
目話日記? おにいちゃん頭おかしくなった?
じゃあ今私がいった言葉を瞬きで表現すると・・・
この一覧から拾えばいいのね、、
右8回、左2回、右7回、両方3回。よし、覚えた。
夕飯の時、お兄ちゃんに試してみよう。
夕飯時、妹がなにやら俺の顔を見ている。
ふむ?
いきなり妹が瞼を動かしだした。
右8回、左2回、右7回、両方3回。
聞こえた!!!
(目話日記? おにいちゃん頭おかしくなった?)
(どうしよう。妹に見られたらしい。そういわれても仕方ない。)
食事中、妹とは目があわせられなくなった。
そして食事が終わると、さっさと部屋に閉じこもってしまった。
(妹に、俺の秘密がばれてしまった。どうしよう・・・?)
洋平は妹だけには自分の気持ちを正直に伝え、理解してもらおうと思うのであった。
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