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寝坊助な末っ子、疲労と原因
可愛らしいぬいぐるみに囲まれた一室のベットに体を丸め眠る真白。
もこもこのパジャマを身に纏いお気に入りの大きなねこの抱き枕を抱きしめむにゃむにゃと寝言を口にする。
そんな真白をじっと見つめる長女、茉莉(まつり)。
朝食の時間だと起こしにきたもののぐっすりと気持ちよさそうに眠る末っ子を起こすことに戸惑いを感じているのだ。
できればこのまま見つめていたい・・・あぁ、いっそ一緒に添い寝したいと欲望が茉莉の心を揺さぶる。
しかし現実は残酷なもの、時間は刻々と過ぎていく。
早く起こさないとな・・・と覚悟を決め、あらゆる欲望を抑えながら茉莉は真白の耳元で呟く。
「しろ・・・しろちゃん、起きないと遅刻しちゃいますよ?」
吐息がくすぐったいのかもぞもぞと動き始めた真白。
「ん・・・んぅ・・・もうちょっと・・・」
寝ぼけた声でまだ寝たいと訴える真白にときめく茉莉。
「しろちゃん、起きて?起きないといたずらしちゃうよ?」
茉莉は下唇をぺろりと舐め、うっとりとした表情で見つめる。
「・・・やだぁ・・・」
聞いているのかいないのか曖昧な返事をし未だに目を開けない真白。
何度も呼ぶがなかなか起きない真白にしびれを切らし、
「しろちゃんが起きないからいけないんだからね!」と嬉しそうに笑うと真白の脇腹に手を置き擽り始めた。
「ひぁっ・・・にゃ・・にゃに・・・」
驚き一瞬で目を覚ます真白。
朝から弱点である脇腹を擽られ涙目になりながら笑い転げる。
「っ・・・ま・・・まって・・・まちゅり・・・やら・・・」
言葉がうまく紡げない。
肩で呼吸しながら笑う真白にこのうえない幸せを感じる茉莉。
しかし、真白が笑いすぎてぐったりしてきたことに気づくと茉莉は手を止め真白の目に溢れた涙を拭った。
「おはようしろちゃん!」
「・・・おなよ・・・まつりおねーちゃん・・・」
元気そうな茉莉とは真逆に朝から疲労困憊な末っ子。
朝からこれほど疲れたのにも関わらず、今日もまた1日が始まるのだと感じため息をつく真白であった。
※補足※
「ましろ、どうしたの?」
ぐったりしながらリビングへとやってきた真白を見て朝食の準備をしていた茜は心配そうに問いかけた。
すると、
「あかねおねーちゃん・・・朝がんばって起きるから、まつりおねーちゃんに起こしにこないでっていって・・・」
今にも死にそうな声で訴える真白に茜は、茉莉には真白を起こしに行くよう頼まないと心に誓ったのだった。
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