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たい焼きの日
「じゃーんっ!」
玲奈は大きな紙袋をリビングのテーブルに置く。
「これなに?おいしそうなにおいがする!!」
微かに香る甘い匂いに興味津々の真白。
「ましろ、なんだと思う?」
「うーん・・・パン?」
「ちょっと近いかな・・・。正解は、たい焼きでしたっ!!」
その言葉を聞いた瞬間、真白は嬉しそうに跳ねた。
「チョコとカスタードとつぶあんとこしあんといちごクリーム買ってきたんだけど、みんなどれがいい?」
「ましろ、いちごがいいっ!!」
迷うことなくいちごクリームを選ぶ真白。
「やっぱりなぁ!ほい、ましろっ」
そう言っていちごクリームのたい焼きを手渡す玲奈。
「茉莉と茜と麻衣は、どうする?」
玲奈は一応声をかけるが姉妹だからこそ誰が何を選ぶのか想像がつく。
「カスタードかなー・・・。玲奈、この店って雑誌に載ってた今日オープンのお店だよね?」
「さすが麻衣!そうだよ、めっちゃ並んで買ってきたんだぁ!!はい、これカスタードね!」
「ありがと!!」
お礼を口にしカスタードを受け取る麻衣。
「・・・で、つぶあんが茜、こしあんが茉莉でしょ?」
言い当てるように呟く玲奈に驚く茜と茉莉。
「さすが玲奈ですね!」
そう言い2人もたい焼きを手にする。
ほんのりと温かいたい焼きを姉妹揃って食べる。
「おいしいっ!これなら何個でも食べれそう」
茉莉は、たい焼きの頭から齧り付く。
「そうですね。皮がカリっとしててあんこも甘すぎず良い感じです!」
茜は尻尾から噛り付く。
「すっごいおいしー!今度友達と買いにいこーっと」
麻衣も茜と同じく尻尾からたい焼きを食べる。
「ほんとだ!めっちゃうまいじゃんっ!!また買ってこよ!」
そう言い玲奈も頭から噛り付く。
「いちごおいしっー!!!」
ただ一人、口周りにべったりといちごクリームを付けたい焼きのお腹から噛り付く真白。
「あーあ。ほっぺにもついてるじゃんっ」
玲奈は真白のほっぺに付着したクリームを舐めとる。
「うまっ!真白のたい焼きが一番おいしいかも!」
「ほんと?れなちゃんも食べる?」
そう言ってお腹が齧られたたい焼きを差し出す真白。
「いいよ、ましろが食べな?っか、なんでお腹から食べちゃうかなぁ?めっちゃクリーム零れてるじゃん」
「だって・・・あたまとしっぽからだとお魚かわいそうだもん」
その真白の一言に、
「いや・・・真白の食べ方のほうが可哀想だ」とみな一様に思ったのだった。
※補足※
「玲奈だけずるいっ!私も、しろちゃんを舐めたい」
そう言い真白に近づく茉莉を茜は、
「真白を?クリームではなくて・・・?」
とどす黒い笑みを浮かべ茉莉の腕を掴む。
「茉莉、少しお話しましょうか?」
「い・・・いや・・・それよりも、しろちゃんの・・・」
「真白がなんです?」
その日、茜の部屋から茉莉の断末魔が響き玲奈は慌てて真白の耳にヘッドホンをつけたのだった。
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