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なんとか自軍の陣に戻った私と士元さん。
さて、一応落ち着いたことだし問題っていうのを聞くとしようかな。
桃香「士元さん、さっき言ってた問題ってなに?」
龐統「無事船は鎖で繋いでもらえたんだがね、一番肝心な場所の鎖を外されちまったのさ。これはあっしも想定外だったよ。こっちの目論みに気づいた人間が居たなんてね」
桃香「それって、船を鎖で繋いだ本当の理由が分かってるってこと?」
龐統「そういうことさ。連合軍の策を見抜いて、肝心な場所だけ鎖を外したんだろうね」
……それってヤバくない?
もう風向き変わりつつあるし、このままだとせっかくの作戦が台無しになっちゃう。
桃香「まさか……敵は私達の策を知っていながらワザと…?」
龐統「…それはないだろうね。全軍にこっちの目論みが露呈しているなら、あっしはとっくに首を撥ねられてるよ」
となると、気づいていながら味方にそれを話してないってことか?
桃香「……なんで話さないんだろ?私達の企みを知ってて、味方に話さないなんて…おかしいじゃない」
龐統「……それなんだがね、あっしもつい先刻知ったんだ。驚いたよ、まさか元直が曹操軍に居たなんてね…」
桃香「元直…?って誰?」
龐統「徐元直。あっしや諸葛亮と同門の漢さ。言っちまえば兄弟弟子さね」
えっ…?孔明さんや士元さんと兄弟弟子?
同門ってことは、同じ学問を学んだ仲ってことよね?
つまり、孔明さんや士元さんと同レベルの頭を持ってることに…
それで私達の作戦を看破したってことか…
桃香「もしかして、士元さんを気にして言わないでいるのかな?」
龐統「どうだろうねぇ?少なくとも、曹操に忠義を誓っているワケじゃないみたいだよ。とにかく、元直を追い出して鎖を繋ぎに戻らないと被害を拡大できないよ」
桃香「なら、私が行ってくるよ。私、孔明さんに言われてるの。士元さんと合流したら、士元さんの指示に従って行動しろって」
龐統「そうかい?なら、お前さんに任せるよ。元直はあっしらと違って武芸にも長けてるから、充分注意しておくれ」
桃香「分かった。じゃあ行ってくるね!」
私は士元さんが言っていた場所を目指して走り出した。
徐元直…孔明さんや士元さんと同門の人、か…
とりあえず、その人を退かせて鎖を繋がないと。
頭じゃ適わないけど、武芸だったら負けないだろうしね!
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