現実と幻想の交差

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とりあえず、月英さんには妊娠する過程について説明してあげることにした。 不妊の原因は多々あるけど、一つずつ試していけば明らかになるだろう。 男性側はともかく、女性側は何かと条件が必要であることを伝える。 桃香「女の人って、出来にくい時期と出来やすい時期があるの。一番分かりやすい原因としては、月英さんが出来にくい時期にしてるからなんじゃないかと」 月英「いつでも宿せる訳ではないのですか?」 桃香「うん。一番妊娠しやすい時期は排卵の時。要約すると、お腹に卵を排出する時。種を迎える準備期間と言えばいいですかね?」 もちろん、これは確率が上がるというだけのものであること、上手く種が卵に結びつかなければ結局妊娠は出来ないと教えた。 しかし、月英さん自身は健康体だし、身体付きから見ても妊娠しにくいようには見えない。 何より月英さんの精気も、普通の女性に比べると強い。 精気が強い女性は、妊娠できる身体を備えているはずだ。 もし、周期を狙って励んでもダメな場合は… 桃香「不妊の原因として、女性側だけに原因がある訳じゃないですよ?男性側も、種がないと妊娠させられませんから」 月英「そ、そんなことがあるのですか?」 桃香「ありますよ。女性の卵に異常があって妊娠できないように、男性だって種に異常があって種付けできない人居ますから」 月英「そ、そんな…」 桃香「で、でもそれは少ない事例でもありますから。私の見立てだと、月英さん孔明さん共に健康体なので、周期さえ合えば出来る可能性は高いですよ?」 孔明さんも、なんかヒョロっとしてる割には精気あるみたいだし。 あくまでもそれは全てダメだった時に発覚するものだと月英さんに教えてあげた。 桃香「あと、精神的ストレス…えぇと、負担かな?それがあると妊娠しづらいから、深く悩むと余計出来にくくなっちゃいますよ」 月英「焦りがより不妊にさせる、と?なるほど…」 桃香「まずは精神的に落ち着いて、周期を見計らって子作りすればきっと出来ますよ」 月英「はい。しかし、その周期というのは…どのように把握すればよいのです?」 桃香「あー、そっか。月英さんの月経周期が分からないとなんとも…」 この時代には、当然ながらカレンダーはない。 ある程度日は観測出来るみたいだけど、正確な観測は難しい。 桃香「あ!そうだ!月英さんちょっと待っててもらえます?いいもの貸してあげます!」 私は急いで自分の荷物を取りに行く。 そして速攻で戻り、月英さんにあるものを手渡した。 月英「桃香殿、これは…?」 桃香「体温計と言って、体の熱を測ってくれる道具です。女性の体温は、不規則な周期でも正確に測れるんで」 とりあえず体温計の使い方を教え、試しに測ってもらう。 桃香「因みに月英さん、前回の月経はいつ頃でしたか?」 月英「月経、とは…月のものですよね?確か…四日前に終わりました」 桃香「なるほど。となると月英さんの月経が正常に行われてるなら、今の状態は出来にくいです。排卵周期じゃないから」 月英「そ、そうなのですか?そのようなことが分かるとは、貴女の世界は凄いのですね…」 体温計の音が鳴り、取り出してもらう。 桃香「うーん、35度8分ですね。起きてからだいぶ経つし、これが月英さんの平熱かもしれません。とりあえず今日から一週間、起きたらすぐ体温を測ってください」 月英「測るだけでよろしいのですか?」 桃香「はい。測ったら、それを記録してください。一週間あれば、違いが月英さんにも分かると思いますから」 月英「分かりました。やってみます」 しかし、月英さんの悩みが子供についてとは思わなかった。 でも、月英さん達からしてみれば深刻な悩みだ。 何度もチャレンジして、出来なかったらそりゃ落ち込むし悩むよね。 幸い、こういった知識はある方だし…月英さん達の為に尽力しなきゃね。
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