真夜中に侵入した恐怖

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 主人の玄一郎はカラオケが大好きだったので、別荘の地下には特設のカラオケスタジオを設けていた。  最高の音響設備と大型スクリーンで、参加者は最高の盛り上がりとなる。  その日の午前7時頃……  地下のカラオケスタジオにいた、玄一郎と長女で佐竹グループ社長の圭子(けいこ)が、 「お父様、そこまで()るのはマズイわよー!」 「うるさい! わしの勝ってだー!」 「キャ――!! 嘘……でしょ……ぐああ……」    圭子悲鳴が聞こえたので、駆け付けた、長男で佐竹グループ副社長の和也(かづや)と妻の冴子(さえこ)はその状況を見て 「あっ。親父、大丈夫かー!」 「キャー! 姉さん、どうして……」  と驚き、妊娠している冴子は、気分が悪いと1階へ戻って行った。    和也は、玄一郎と圭子の遺体を前にオロオロするだけだった。  2人共、頭半分が黒く()げたような状態で、絶命していたのだ。 「警察に通報しなくては……」  冴子は、様子を見に戻った和也に言った。 「それはどうかな……」 「えっ、どうして?」 「外傷が無いから、どう考えても事故死だよ……。それに、警察に通報したって、到着は早くても今日の夕方だろう。ここは絶海の孤島なんだからね……」 「それでも通報しない訳にはいかないでしょう……。それに、本当に事故死なのか……なんとか知りたいわ……。もし殺人なら、一刻も早くこの島を出なければ……」 「なるほど……。それなら、次男の誠次に相談しよう。彼は外科医だからね」 「そうだったわね。じゃ、そうしましょう」  和也は、とりあえず東京の警察に通報すると、まだ2階で就寝中の誠次を呼びにいった。  和也から事情を聞いた誠次は、すぐに2人で地下のカラオケスタジオへ向かった。
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