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玄一郎と圭子の遺体を目の当たりにした誠次は、信じられない様子だった。
が、警察が到着するまで保存するため――と和也と共に、2人の遺体は大型冷蔵庫に収納した。
和也は、困惑しながら、
「念のため別荘の周辺を見てきます」
と出ていった。
1階のリビングで休んでいた冴子から、2人の解剖の相談を受けた誠次は、
「それなら大丈夫。事件性はありません。外傷が皆無なので2人共、病死ですよ」
「そう……」
「第一、勝手に解剖なんかしたら、後で警察が到着した時に、大変な事になりますよ。しかし、あのままにはマズイので、2人の遺体は大型冷蔵に収納しました」
「私は、どうしても2人の死因が知りたいのよ」
「死因なら、見れば分かりますよ。何らなの原因で脳が破壊されたんです、他に外傷はありませんから……」
「そう……。でも何故、そんな事が……」
そこへ和也が戻ってきて、
「やはり事件ではないようだ。どこにも不審者はいなかったから」
「そう……。ところで誠次さん、あなたの奥さんとお母様にも伝えないと……」
「勿論。お袋には僕から伝えるよ。通子さんには――」
「勿論、僕から」
すると、そこへ、騒ぎに感づいた宮子と通子が下りてきた。
今回の件を知り、ショックで寝込んだ宮子の提案で、パーティーは続けられることになった。
「故人となった主人の気持ちを尊重したいから……」
というのが、その理由だった。
昼過ぎ、パーティー用の料理の準備をしていた、通子の様子を見にきた宮子が、味付けの件で喧嘩を始め、やがて2人共、キッチン内で絶命したのだ。
その頃、和也と誠次は、地下のカラオケスタジオで原因の探求をしていた。
一方、調理の手伝いをしようとキッチンを訪れた冴子が、宮子と通子の遺体を発見し、急いで地下にいる2人に知らせた。
誠次が調べると、両者共、玄一郎たちと同様、頭の半分が焦げていたのだった。
原因が全く分からないまま、宮子たちの遺体も、和也と誠次の手で地下の大型冷蔵庫に保存することになった。
こうなると、もはやパーティーどころではなかった。
残った冴子と和也と誠次は、リビングのソファーで頭を抱えてしまった。
そんな中で誠次は、
「とにかく僕は帰ります。ここにいたら、いつ死ぬか分かりませんからね。東京で警察からの知らせを待ちます」
自分の部屋へ向かおうとした。
その時、薄汚れたスーツを着た変な男が入ってきた。
「突然ですが……お邪魔しますよー」
冴子は思わず顔を上げて、
「えっ、あなたは?」
「趣味で天文学をやってる、一応、探偵の山吹といいます」
「で、その山吹さんが、どういう用件で?」
和也が怪訝そうに訊いた。
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