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「今回の、この別荘で起きた奇妙な事件の原因……知りたくないですか?」
3人は呆然とし、冴子が、
「えっ、なぜ今回の件を?」
誠次も、呆然とソファーに戻った。
山吹は、整然とソファーに座り、
「実は以前から、この別荘に感心がありましてね。この別荘が無人の時に、お邪魔して、全室に超高感度の盗聴装置を仕掛けておいたからです」
「まっ、なんという事を!」
「なんせ、皆さんが利用するのは年に1回。それ以外は、月に数回、会社の関係者が確認に訪れるだけだから、余裕で設置できましたよ」
「しかし、ここは絶海の孤島だよ。どうやって東京まで電波を飛ばしたんだね?」
和也は、怪訝そうに訊いた。
すると山吹は苦笑しながら、
「いやいや、それは不可能です。だから、東京にある会長宅にも盗聴装置を仕掛けて会話を盗聴し、昨日この島へ渡ることを掴んでました。ので、皆さんが別荘に来た翌朝、私も船で訪れて、皆さんの会話を全て盗聴していたんですよ」
「そこまでして私達の会話を聞いて、どうしようと……?」
冴子も、怪訝そうに訊いた。
「小説のネタにでもしようと思いましてね。かの有名な佐竹一族の雑談となれば、けっこう高値で売れますから」
「で、あなたは、今回の連続死亡の原因、本当にご存知なんですか?」
和也は、今度は興味ありげに訊いた。
「実はですね、昨日の夜……正確には、今日の午前3時頃、宇宙の方から、ある奇妙な電波が、この地球に到達したことを確認しましてね」
今度は誠次が、身を乗り出して、
「その奇妙な電波と、今回の連続死亡が関係あると?」
「多分。その電波の飛来地を精査したところ、この島……すなわち佐竹島に到達したことが分かったのです。つまり、その電波が会長たちを殺した……」
今度は冴子が、怪訝そうに、
「たけど、どうやって……。ただの電波でしょう……?」
「詳細は不明です。が、今朝からの皆さんの会話から、その怪電波は、人間の脳に、何らかの特殊な影響を与えるものだったのではないか――と推察しました」
「おいおい、もっと分かりやすく説明してくれ!」
と誠次が言うと、和也が、
「いや、この人にも、良く分かってないんだろう……」
すると冴子は和也を見て、
「でも……そう言われると、今回の連続死亡事故……なーんか見えてくるものがありそう……。だって4人共、2人でいる時に亡くなってるから……」
「そう。2人での喧嘩の時に――」
3人は、えっ、喧嘩? と山吹に注目した。
「では、私の推測が正しいかどうか、実験してみましょうか……」
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