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南さんのマメさに感心していると、またスマホが鳴る。あ、蒼太からだ。
『遙人、お疲れ様』
スマホから聞こえてくる蒼太の声は、いつもより少し低くて色気がある気がする。
「蒼太、お仕事終わったの?」
『あと少しで帰れそう。親父たち、息子だと思って人使い荒いんだよな』
守秘義務とやらでどんな仕事をしているのかよくわからないけど、毎日すごく忙しそうだ。
『遙人に早く会いたいよ』
「俺も……。会えなくて淋しい」
本当に淋しい。バイトの時間は忘れられるけど、こうして家で一人になっちゃうと蒼太に会いたくてたまらなくなる。
『遙人、何も変わったことない?誰かに変なこととかされたりしてない?』
「何もされないよ。俺、モテないもん」
笑いながら答えると、電話の向こうで蒼太が大きなため息をついた。
『そんだけ可愛いいんだから、ちょっとは自覚してよ。変な男にはちゃんと気をつけてね』
また過剰に心配されてしまった。
でも、大事にされてるって思うと過剰な心配も嫌じゃないんだ。
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