夏休み

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夏休み

「いらっしゃいませ」 夏休みに入り、俺はバイトに励んでいた。 蒼太は親の事務所のお手伝いがあるらしく、ここ数日間会えていない。 夏休み前まで1日のほとんどを蒼太と過ごしていたので、物足りない淋しい気持ちをバイトで紛らわせるため毎日頑張って働いている。 「5番テーブルのパスタあがったよ〜」 厨房から社員の南さんが声をかけてきた。南さんは30代らしいけど、私生活が全く謎。 なかなかのイケメンだから結婚してるのかもしれないけど、無口であまり自分の話をしないんだよな。 「ありがとうございます。これ、新メニューですよね。美味しそうですね」 「そうだな」 南さんがにっと笑った。クールな南さんの笑顔…レアなものを見てしまった。 パスタをお客様の元にお届けし、空いたお皿を片付けたりドリンクを補充したり。 夏休みは学生のお客様が多くて、ファミレスはけっこう忙しいのだ。 「遙人君、休憩行ってきて。遅くなってごめんね」 2時になって店長から声をかけられた。 「ありがとうございます。休憩してきますね」 朝から忙しく働いていたので、ちょっと疲れてしまった。
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