軍神の強さの秘密(ランバート)

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軍神の強さの秘密(ランバート)

 心地いい陽だまりの中、ランバートはファウストの膝に頭を預けてぼんやりとまどろんでいる。  そよそよと吹く風がうさ耳を揺らして、ほんの少しくすぐったい。大きくて温かい手が頭を撫でるのは嬉しい。 「体冷えないか、ランバート」 「んっ、平気。とても気持ちいいよ」  見下ろしてくる黒い瞳が優しく細められるのを見上げて、ランバートはやんわりと笑った。 「俺の膝じゃ寝心地悪いだろ」 「本当だね。ゴツゴツして硬くて、枕としては最悪かも」 「おい」  ちょっとムッとすると、眉根に皺が寄る。そんな顔も最近、減った気がする。  くすくす笑いながら寝返りを打って、ファウストの方を向いた。 「うそ。気持ちいいよ、ファウストの膝枕。温かいし、撫でてくれるの嬉しい」 「そうか」  髪を梳いてくれる手が、こんなにも幸せだ。 「ねぇ、ファウスト」 「どうした?」 「キス、して」  寝転がったままおねだりをすると、困ったようにファウストが笑う。そしてちょんと、額に唇を押し当てた。  すごく、くすぐったい。 「もぉ、ちゃんとしたのがいい」 「それが欲しいならちゃんと起きろ。いつまで甘えて寝転んでるんだ?」 「いいじゃん、好きなんだもん。それに、うさぎは寂しいと死んじゃうんだぞ」  本当はそんな事はなくて、むしろ縄張り意識が強い。狭い場所に多頭飼いするとストレスが溜まる。  でもここは言いたいじゃないか。寂しいと死んじゃうんだから、もっと甘やかせろって。  ファウストはちょっと驚いて、次にはふわりと笑った。 「そうか、死んでしまっては困るな」  また額にキス。けれど次には唇に、優しいキスをしてくれた。 ===== 「…………」  目覚め直前の夢は、どうしてこんなに鮮明に覚えているのだろう。  早朝の彼氏のベッドで見た夢をどう自己処理していいかわからず、ランバートは額に手を当てて気まずい顔をしている。  よりにもよってあんな……ベタベタに甘える夢を見るなんて!  幸いなのが隣りにファウストがいないことだ。少し離れたソファーに、着ていた夜着が置いてある。私服が消えて、剣も消えているからきっと修練場だ。早く起きすぎて眠れずに、体を動かしにでも行ったのだろう。 「はぁ……締まりのない顔してないか? 俺」  幸せだったし、とても嬉しかった。だが、恥ずかしすぎる。  うさ耳カチューシャをサイドボードに置き、ランバートは二度寝を決め込む事にする。新年だからこそ許される暴挙だ。寝ればきっと、あの夢も忘れてしまうだろう。  だがしかし、ランバートは知らない。  ファウストがうさ耳ランバートの発情期に当てられ、しっかり子作りした初夢に動揺しまくり、流石にこれはいかんと反省しつつ妄想を振り払うように早朝修練を積んでいるということを。 END
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