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「……ルカ、アンタって…実は物凄くクレイジーなんじゃない?オレみたいな馬鹿と、関わっちゃったのがいけなかった?」
とりあえず、ルカが自分で傷を処置し、おびただしい出血が止まったことで、タカシも落ち着きをようやく取り戻した。
「…オレは、いつだって、自分の心に正直なだけです」
ルカはベッドの縁に腰掛けて、淋しそうに笑った。なんとなく…まだタカシが自分の元から離れていきそうな気がしてならなかったのだ。
「……わかったよ。一緒に日本へとりあえず帰ろう。それから、いろいろ考えればいいさ」
予想もしない、タカシの言葉だった。一瞬、聞き違えたのではないか、そう思ったほどだ。
「…だって、それはタカシさん…」
「日本に帰らなきゃな。だけどオレ、ピアノを諦めるつもりはないから」
何も言えなかった。タカシが自分のために、ほんの少し、歩みを待ってくれる。だから…お互いを高めあえる存在なんだと、出逢ったときから信じていたのだ…。
「……タカシさん、オレが今、すごくあなたが欲しいからしよう?って言ったら、軽蔑しますか?」
あまりにも唐突なルカからの誘いに、タカシは微笑む。
「……オレに断る理由があると思うの、ルカ?」
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