第三章 君を想えば

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 そして…自分は彼に突き放された。  頬杖をつきながら、ルカは窓を眺めた。所在さえ判れば、手紙だって書けるのに…。いい大人なのに…何故、こうも泣きたくなるような想いをしなければならないのだろう?  タカシと別れても今なお、身も心も彼に支配されている自分がいる。  タカシさん…。オレ、バイエルンで毎日、研究と論文の生活です。ドイツ語はちょっと難しくて…最近になってようやく、会話に慣れました。あなたと一緒にこちらに来ていたら、ドイツ珍道中で、楽しかったかもしれない。きっと、フランクフルトをかじりながら、美味しいビールが飲めたと思うのに…。  タカシさん……。  遠い空のむこうで、必ず会えると信じて、ルカは想いを馳せる。目を閉じれば、背中を包むように抱きしめてくれる彼がいる。それが当たり前の毎日だった。言葉が多くなくても、決して切れない絆で結ばれていたはずだった。ルカは思う。タカシは一方的にその絆を切ったつもりだとしても、自分は確かに感じるのだ。未だに、堅く結ばれた、見えない二人の絆が。
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