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数年後、タカシはホテルの人気バーテンダー兼、ピアノマンとして、東京で名が知られるようになっていた。
そしてその後、Bar Lucasのマスターとして、歓楽街の片隅に身を寄せるのだった。
店にあるピアノは、NYに居たときに彼と共に過ごしたルームメイトだ。
「……ルカ、ドイツで…元気にしているか?」
目を閉じて、今でも想うのは自分を全力で愛してくれた、眼科医のこと。
たとえ遠く離れても…この地でお前を想って生きていく…。
まるでルカにそう誓うかのように、今日もネオンが輝く星のない空を見上げる。
「佐屋!鳴海!看板出しといてくれよ…」
タカシはバーの従業員であるバイトの二人に声をかけた。店に暖かな灯りが灯るように、タカシの心のなかにも、ルカへの愛は灯り続けるのだった…。
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