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第四章 Bar Lucas
歓楽街のちょっとした路地裏に入ると、こじんまりとしたピアノバーがある。マスターの趣味で適ったインテリアと、少し時代遅れな疲れた感じ。それが『BAR、ルーカス』だった。
「ハイ!質問!!」
鳴海はカウンターに向かってマスターに訊ねた。
「ルーカスってアレじゃね?ほら、アメリカの超有名なカントクの名前!」
すると、白のカッターシャツと黒のベストに着替えながら、佐屋が横から口を挟んだ。
「…マスターがワケあって付けた名前なんだろうけれど、そろそろ由来を僕たちに教えてくれてもいいじゃないですか?」
「あー、のー、ねー、君たち、未成年で働く場所が無いって泣きついてきたから、オレが風営法で罰せられるのを覚悟でオレの親戚ってことで雇ってあげてんのに…余計なことを意見したりしないの!いい?」
「だってー、電話出るときにココの屋号が有名人の名前すぎてこっ恥ずかしいんだって!」
口を尖らせて不満そうな鳴海に、タカシはさも当然というような顔で言い返す。
「うちはね、鳴海くん。ラーメン屋じゃないの。しょっちゅう出前の注文とかの電話がジャンジャンバリバリ鳴るっていうなら別だけど、めったに鳴らないでしょ、アレ」
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