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第五章 本命とラーメン
とある歓楽街の片隅に『山口クリニック』という、小さな眼科がある。ドイツ帰りの凄腕の若い先生がいるらしい…ということで、あっという間にクチコミで評判になった。山口クリニックの医師の名は山口瑠歌といった。
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「はい、今日も目薬だしておきますね。あともうちょっとでかゆみも収まってくると思いますよ?」
「はい、先生、ありがとよー」
「今度グラインダーを使うときは、ちゃんと防護マスクを使わなきゃダメだよ?今回はたまたまよかったけど、火花だけじゃなくて、熱をもった異物が入っていたらどうなっていたか…」
「おう…気をつけるよ。現場が暑くてさぁ…。防護マスクするのが面倒くさくてよ…」
作業着姿の患者を前に、ルカはにっこりと笑う。
「ゲンさんは独り者じゃないんだから、家族のために気をつけないとね」
「…先生までそんなこというのかよ、こりゃさっさと帰ったほうがいいな、ははは」
「お大事に」
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