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罪
昨日は昔のことを思い出してしまったな。
忘れないようにするのが俺ができることだ。
そう思いながら、ふと携帯に目をやる。
4月26日(日)10:29
もうこんな時間か、たしか雨宮の大会1時からだっけ
『見に来ないと、怒るからね!』
そんなこと言ってたな。まぁ暇だし見に行ってやるか。
炎城下愉快は制服に着替え始めた。
黒のタートルネックをカッターシャツの下に着て、
右ポケットには携帯、ガム
左ポケットにはライター 家の鍵。
耳にはイヤホンをしている。
「いってきます。」
ぼそっと口にした。
「にいに どこにいくの?休みなのに制服なんか着ちゃってさ」
リビングからこっちに歩いてくる音がする。
「いつも休みの日は引きこもってる にいにがわざわざ外に行くなんて、まさかデート?それなら制服はちょっときついかな~」
「う、うるさいな。僕にデートに行ける相手がいると思うの?
普通に学校に用事があるだけだよ。。。」
「あっそ、まぁ早く帰ってきなよー 今日はお父さんとお母さん帰ってくるらしいから」
「う、うん わかった。じゃ行ってくるね、」
「行ってらっしゃい~」
あんな奴ら顔も見たくない 俺より社会的地位を取ったくせによく帰ってこれるな。とりあえず行くか。
いつもの通学路を歩いていると 気持ちい風が前からぶつかってきた。
この風景を三年間見ることになるんだなと考えつつ
私立 蕾ヶ丘高等学校(つぼみがおか)
という文字が見えたところで
身長は163センチ 胸はBカップ 体重43キロ 黒髪のロングできれいな顔立ちの生徒が何かを探していた。
その生徒に近づいて
「あのーなにかお困りですか?」と声をかけるつもりだった。
しかし俺はこいつを見たことがある。
そう、天霧 カナンだ この前は暗くてよく見えなかったけど死ぬほど美人ってやつじゃないのか。
やばい急に緊張してきた、生きてるって感覚だ。
『ちょっと気持ち悪いんだけど。そんなとこでニヤニヤされて気分がそがれるわ』
前言撤回だ こいつ死ぬほど性格ブスだ 人に優しくしようという気はないんだろうな。こいつの親が見てみたいものだ。
「すいません。
いやこれを返そうと思って・・・一昨日ぶつかったときにおとしt」
バッ
『本当に気持ちが悪い、なんで私の生徒手帳奪ってんの、もしかして私のストカー?やめてもらっていいかしら 鳥肌が止まらないわ、気持ちが悪い
あなたと会うのは二回目よ 一目惚れってやつかしら 気持ちが悪い 吐き気がするわ 二度とかかわらないで 消えなさい 気持ちが悪い』
んーこれは弁解する余地もなさそうだな。
ははははっ 願ったり叶ったりだ!!!! こんなにも罵倒を浴びせられても何故か気持ちがいい!!最高の気分だ
ムチさえあれば何も言うことないんだけどな・・・
まぁここは静かに去ろう。
ペコッ
頭を下げて体育館のほうに歩いて行った。
『ほんと気持ちが悪い奴』
おーい聞こえてんぞ。何回こいつに気持ち悪い言われたんだ俺は。七回か。
容姿がきれいな奴ほど性格ブスなやつはいない。
しかし顔がブスなやつは中身もブスなことが多い。そう女って生き物は人を下にして自分より下のやつを見ることによって優越感に浸る。
自分も下に見られていることを知らずにな。
だから彼女にするなら顔が可愛く、気を使える女が一番良い。
でも性格がブスな奴もいる
しかし希望を持つことは忘れてはいけない。
極まれに顔が可愛く性格もいい奴もいるはずだ。
ブスのほうが安心する?それは何の安心なんだ?
浮気をする可能性が無いってことか?
馬鹿を言っちゃいけない、人とは浮気をするものだ。
必ずする。絶対だ。
なら好きな食べ物があるとしよう。そうだなポテトチップスでいいかな
君はうすしお味が好きとしよう しかしたまにはコンソメを食べてしまいたくなる。そして食べる。
人に置き換えるとしよう。ほら浮気になってしまう。
しかしコンソメを食べたあとにやっぱりうすしおがいいな!と感じる奴もいるだろうな それはコンソメでうすしおの美味しさを確認するためには必要なことなんだ。
それを許してやれる人間になることができれば何事にも広い視野を持って接していけるんだ。そうやって人は成長していける生き物なんだが なぜかそれをできない人間もいる 全く不思議なことだ
と、恋愛経験皆無の童貞が申しています。
全く誰に向かって心の中でしゃべっているのだろうか
そんなことを考えながら体育館に入った
ムニュ
『ゆっくん!!!!来てくれたんだね!」
背中にはとっても柔らかい感触がある。
そうそこには楽園があったのだ。
とても口では表現できない感触だ。Dだ。また成長してる。
「うん、来てやったぞ。それより離れろ。汚らわしい」
いや、ほんとはそんなことはないんだよ?
でもみんなの目が痛いし。恥ずかしいんだよ。。。
みんなが見てない所だったらじっくりと堪能しているんだよ?
『もう!ほんとひどい!
ゆっくんの馬鹿!もうすぐ試合始まるから上で見てて!』
そう言ってベンチに雨宮は戻っていった。
バスケットボールのユニフォームがよく似合ってるな
少し冷たくしすぎたかな。とりあえず二階に行くか、それにしても蒸し暑いな
こんなにも体育館は暑くなるものなのか。
「ちょっと君 雨宮さんのなんなんですか!」
突然声をかけられた。
すかさず
「えーとただの友達ですけど 」
「あぁそうですか、これからはあのような行為はやめてもらっていいですかね?」
「は、はい」
なんなんだあいつは雨宮の彼氏なのか、、、
ピーー
お、試合が始まったな。えー雨宮は7番か エース番号ってやつか。
さすがに上手いな うちの学校意外と強いらしいな
雨宮の放ったシュートがきれいにリングを通り抜ける
「いいぞ いいぞ かえでー!!!ナイシュかえで!」
あいつ応援団だったのか。
え、なに 【かえではみんなのもの】って書いてある旗振ってんだが。
どこぞのアイドルか何なのかあいつは。変わった奴らもいるもんだな。
ピッピー
「101対86で蕾ヶ丘高校の勝ち!礼!」
「ありがとうございました!!!!」
パチパチパチパチ
そこには俺が欲しかったものが全てあるように思えた。
苦楽を一緒にした仲間と勝利を分かち合う姿。
悔しさのあまり涙をこぼし、それを見てチームメイトが集まり励ます。
なぜだろう心の中でモヤッとした感情がある。
気分が悪い こんな時普通の人間ならどう思うのだろうか
俺は悔しさで涙がこぼれるという体験をしてみたい。
そこら辺の感情はとっくの昔に置いてきたからわからない、
『ゆっくん!見てくれた!?私カッコよかったよね?』
「おう、みたぞ。35得点はすごいな、こんなにも上手かったんだな
少し見直した。まぁお疲れ様。」
『う、うん ありがと。また見に来てくれる・・・?』
ちょっと頬を赤くし汗をぬぐった
「次も試合あったらLINEしてこい 日が空いてれば見にいくから じゃあな」
‥‥‥‥嫌いだ こんなふうにまっすぐな目で見てくるこいつも
こんな考えしかできない自分自身も
そう言い残し俺は体育館を出ていき携帯を取り出し時間を確認した
4月26日(日)14:29
090-***-###不在着信
留守電アリ
誰だろうか、俺に電話してくる奴なんてそうそういないぞ・・
ポチッ
『22000228811121122#199 22222000822233#200514479999 259333#』
はぁわざわざこんな留守電残すなよ。口で説明したほうが早い気がするんだがな。今夜9時か。今から行くか いや美緒さんいるなら一緒に行ったほうが早いかもしれんな。
ガラッ
「失礼します!篠風先生いらっしゃいますか?」
「はい、何の用でしょう。炎城下愉快くん」
そう言いながら篠風は近づいてきた
「ちょっとこっちにこい5th」
と耳元で囁く
そうして二人は生徒会室に入っていった。
「なんだ 不愉快くん私を呼び出して
え、まさか告白!? 年上好きなんて知らなかったわ・・・でもごめんなさい私はお子様には興味ないの・・・」
え、なんか振られたんですけど。
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