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ガチャ…
鍵がなぜかかかってない屋上の扉を開くネロ。
この学校の生徒たちは、案外真面目で、行くなと言われれば、鍵をかけてなくとも誰もこないのである。だから開けっ放しなのだ。
「ここにもいないか?」
辺りを見渡すが、人の気配がなく、Vはいないようだ…
そう思い、戻ろうと振り返ると、ドアの上の方から、垂れ下がる黒いズボンの足が見えた。
この学校の制服はグレーの細かいチェックのはずだ。
紛れもなく奴だ…
ハシゴで屋上のさらに上にある空間に登ると、そこには腕を頭に回して寝転がるVが居た。
「よく見つけたね、僕を…」
気配に気づき目を開けたVはネロにそう言った。
「おい…忘れ物だぞ…」
そう言いネロはVのお腹の上に優しく本を置き、隣に腰かけた。
起き上がりながらその本を持ちVはネロの方を向いた。
「探してたんだよ…ありがとうネロくん」
そう言い、今までずっと暗い顔しかしてなかったVはネロに笑顔を見せた。
「ニコにも強く言っといたから。俺も悪かったし、ごめんな…」
ネロは、気恥ずかしいのか、Vの顔を見れず、空を見ながら謝る。
「いいさ…君とはもう友達だろ?お互い生まれつきのコンプレックスを持ってるどうし仲間だ…」
「いつもここにいるのか?」
ネロはVに問いかけた。
「あぁ…静かなのが好きなんだ。詩も読みやすいし。」
本を開きながら答えるV。
「俺居てもいいよな?友達だろ。」
「あぁ…」
なんだか曖昧にも聞こえるVの答えにネロは誇らしげに前を見つめた。
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