2人が本棚に入れています
本棚に追加
ミッション1:対面
「ガヤ…ガヤ…」
放課後、まっすぐ帰る者たちや、これから部活の生徒、委員会の仕事などで溢れる生徒たちは、玄関ホールで忙しなく行き交っていた。
その中に生徒たちに囲まれる少年の姿が…
「ねぇうちの部室の電球変えてくれない?」
「いやいや、こっちの委員会手伝ってよ!プリント多いんだよ…今人手が足りなくて。」
一斉に話しかけられて、困った表情の彼は、この学校で“便利屋”と称されている。
名前は“ネロ”。
髪は銀髪で、それはなんと地毛ならしい…
だからなのか、目立つため困ったことがあったら、銀髪の彼に言うといいと、この学校では噂されている。
(ニコの奴…こうなるから俺のこと広めるなって最初に言ったのに…)
彼は心で呟いた。
最初は、ただ親切に目の前で困ってた子を助けたり、悩みを聞いたりしていただけが、オカルト研究部に入ってから、部長のニコのせいでこの有様である。
「こら‼︎そう言うことは素直に担任や、顧問や用務員に言え〜‼︎」
そこへ、先生が現れ、周りの生徒たちは逃げるように散っていった。
(いや…ネロくんの方が良くない?イケメンだしさ、かっこいいし、優しいし…)
コソコソ…
散っていった何人かの女生徒が、小声で友達とこう呟いた。
そうなのだ。ネロ本人が気づいてないが、結構人気者なのであった。
彼の後ろでは、その様子を、廊下の壁に寄りかかり、本を片手に伺う1人の少年の姿があった。
最初のコメントを投稿しよう!