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顔を見上げて
「何色気づいてんの?」
揶揄するような幼馴染の口振りにありったけの「イーッ」を返して橘花はプイと横を向く。
去年まで橘花を見上げていた俊が今は橘花を見下ろしている。
ずっとあたしについて来てた癖にと。隣に座る幼馴染が、急速に男の子から男子に変貌していく姿に橘花はとても居心地が悪い。
触れても居ないのに隣に座る俊の腕の感触が、ノースリーブの剥き出しの腕に感じられて橘花は己の意識過剰に頬を赤らめる。
「あらあら俊君来てたのー?」
洗濯かごをぶら下げた母が現れて俊の横を降り、お気に入りの木のサンダルをつっかけて物干しざおに向かう。
「お邪魔してますおばさん」
屈託ない幼馴染の言葉に、呑気な橘花の母は笑顔を返す。
洗濯機には昨日脱いだあたしの下着も入ってたはずと、橘花は慌てて母を追いかける。
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