お春

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 天女は桃の実を食べてみたい気がしたが、あんまり気に入ったので外観を崩すまいと其の儘にして羽衣を脱いで桃の木の枝に引っ掛けて水浴びをすることにした。  その羽衣は芳しい香りを漂わせておったが、その香りではなく桃の実の香りに誘われて一人の男がやって来た。  その男が桃を捥ぎ取っておいしそうに食べておる姿を見て天女は、「花より団子かよ、私のお尻の方がよっぽど美味しいのに・・・」と大いに不満に思った。
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