お春

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 その妙なる美声を耳にして男は、はっとして思わず振り向くと、この世のものとは思われない美しさを誇る天女が一糸まとわぬ姿で而も透き通るような白い肌を濡らして立っておったのじゃから驚かない筈が無く天地がひっくり返る程の衝撃を受け、これぞ正しく水の滴るようないい女だと魅了された。 「あなたの手にしてるもの、何だか分かる?」 「えっ、あの、これは」と男はあたふたしながら言うなり羽衣を元のところに引っ掛けた。 「ふふふ、それ、私の服なのよ。」
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