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「無視ですか。まあいいでしょう。だけど、私ならあなたに本当の快楽を教えてあげられますよ? 興味があれば、来週の金曜日、夜の八時にここにいらしてください」
男はそう言うと、一気にウィスキーを飲み干し、勘定を済ませて店を出ていった。
目の前の恋人は、男に対して完全に腹を立てている様子だ。私も気持ち悪さを感じていたものの、男の放った“本当の快楽”という言葉に、微かに心惹かれていた。
翌週金曜日、私は気がつけば引かれるようにバーを訪れていた。男は既にカウンター席に腰をおろして、ウィスキーを舐めている。そして、私の姿に気づくと、
「やっぱり、いらっしゃいましたね」
と笑顔で言った。
私は男の隣に座り、ラガヴーリンのロックを注文する。
「ねえ、あなたなら私に本当の快楽を教えられるって、どういうこと?」
「そのままの意味ですよ。私ならあなたを本当に感じさせることができます。あなたの体を快感に対して解放することができるんですよ」
「信じられないわ」
「それならば、試してみられるといいですよ。いつものように、ジェルなんて要りませんよ。あなたの蜜で蜜壺をいっぱいにして差し上げましょう」
男はそう言って、ニヤリと笑った。
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