Sadism Ⅴ

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 私は男に連れられて、大きな屋敷へと案内された。洋風の豪奢な作りで、部屋数もいくつあるのかわからない。  そんな屋敷の中の一室に私は招き入れられた。部屋の中心には大きめのベッドが置いてあり、その周りにはいくつかのSM用の器具が設置してある。私は一瞬、部屋に入るのを躊躇ったけど、男は力強く私の手を引いて部屋の中に入った。 「私、SMなんか興味ないんだけど」  私は部屋の中を見回しながら言った。 「あれはただの飾りですよ。お気になさらず」  男はそう言うと、私の背後に立ち、手慣れた様子で私の服を一枚一枚丁寧に脱がせてゆく。あっという間に裸にさせられた私に、 「さあ、ベッドの上に大の字になって寝てください」  と男が指示する。 「大の字? どうして?」 「まずは形から入るんですよ。体を解放するために」 「はあ」  私にはよく理解できなかったけど、とりあえず男の指示に従って、ベッドに大の字になって寝る。すると、男は私の脇に跪いて右腕を撫でる。だからといって、何かを感じることもない。  ぼんやりと天井を眺めていると、カチャッという金属音とともに、右腕に冷たさが走る。何ごとだろうと思って見てみると、私の右手は手錠でベッドに繋がれていた。
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