橙武者、推して参る

登場人物・あらすじ

橙武者、推して参る

登場人物

薄田兼相（岩見重太郎）：大坂の陣で後藤又兵衛らと共に「御手柄、源平以来比類なし」と敵方である東軍から激賞された勇将。仕官前は剣客・岩見重太郎として日本各地に英雄伝説を残すが、砦の失陥で自軍の西軍からは橙武者（評判倒れの男）と揶揄されるなど、毀誉褒貶の激しい人物。

岩見重左衛門：主人公の父。日本の剣流を二分する京・鞍馬流の流れを汲む剣士。小早川家の武芸指南役を勝ち取るが、妬みを買った同僚の凶刃に斃れる。

広瀬軍蔵：小早川家の家臣。膂力と奸智に秀で、岩見家の不倶戴天の敵となる。

祇園藤次：九州から京に上った重太郎を導く剣の先達。師でもあり、兄や友人のような存在にもなっていく。

真田信繁：主人公の豊臣家中での先輩。不撓不屈の精神を父から受け継ぎ、豊臣家劣勢の挽回を図る。

宮本武蔵：名声、実力を兼ね備えた剣豪だが、その仕官活動は上手くいっていない。同時代に生きる剣客として主人公と互いに意識し合い、やがて戦場で見える。

あらすじ

　京、鞍馬流を修めた浪々の剣客・岩見重左衛門は、小早川隆景立ち会いの御前試合で卓越した技量を発揮し、小早川家の兵法指南役の座を勝ち取る。しかし、重左衛門の立身を妬む家中の古参・広瀬軍蔵一味によって、重左衛門と長男・重蔵は亡き者とされた。

　残された次男・重太郎と妹・辻、重太郎は小早川隆景から受け取った仇討ち免状を胸に、広瀬一党を討つため探索行に旅立つ。