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何で戻ってくるんだろうか?
「おにいさん、これあげる。」
近所の子供が良い笑顔で握りこぶしを差し出した。
以前、その子が転んだ時に絆創膏を貼ってやった事があり、時々話しかけてくる事があった。
「おう、サンキュー。」
どうせ萎れた草花だの、小さな虫だろう。
貰って嬉しい物では無いが、その気持ちがありがたい。
手のひらで受け取り、見つめる。
・・・、マジか。
そこには、あの小石が乗せられていた。
「へへん、きょうりゅうのタマゴだぞ!」
「あ、ああ、恐竜の卵なのか。
スゴいな。
これは坊主が大事に持ってた方が良いんじゃないかな?」
「おれはタクサンもってるから、おにいさんにもやるよ!」
「ははは、タクサンあるのか?
全部恐竜の卵なのか?」
「そうだぞ!
おれ、きょうりゅうのタマゴみつけるの、じょうずなんだ!」
「そ、それはスゴいな。
じゃあ、これはありがたくもらっておくな。」
はぁ。
何でこの小石が俺の元に戻ってくるんだ?
コイツ、俺のストーカーなのか?
ズーンと重い気分で家に帰る。
子供の純粋な好意で貰ってしまったものだ。
もう、捨てるという選択肢は無かった。
取りあえず持ち帰り、玄関の棚の上に置いた。
その夜の夢では鳥みたいな恐竜?が生まれた。
数日気になって見ていたが、小石は小石、手足が生える訳もなく、恐竜も生まれる様子もなかった。
良かった。
うん、これが当たり前の日常なんだがな。
ちょっとヒビリ過ぎだったな。
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