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はあっ?!
小石の事などそのまま忘れ、普段の日常をすごしていた。
夢にも出てこない。
玄関の棚の片隅なんて目にも入らない。
ある日、職場の友人がやってきた。
飲み会があって、上司の接待に疲れ、飲んだ気がしないので二次会の後のご苦労様会をやる為だ。
もう、日付も変わろうという時間だが、コンビニでツマミとアルコールを買い込んで二人で俺の家の玄関になだれ込む。
「お邪魔しまーす!」
何度も来た事のある友人だ。
遠慮もせずに上がり込み、勝手に皿やら箸やらを用意している。
「お疲れ~!」
二人でビールの缶を持ち、乾杯をして飲食し始める。
「いやあ、部長、ヤバかったよな。
ズラがずれてたもんな!
もう、笑い堪えるのが辛いのなんの!」
「あれで誰にも気付かれていないと思っているんだからな。
三上さん、部長の頭撫でるの止めて欲しいな。」
ほぼ毎回、酔うと部長のズラが危ない。
そっと戻して家に送り届けるのが大変なのだ。
「はあ、もう、脱いじゃえば良いのに。
あ、俺トイレ。」
部長のズラ話だけで毎回三十分は語れる。
「なあ、これ、卵か?
何で玄関に置いてるの?」
玄関脇のトイレから出てきて、見つけたらしい。
俺も冷蔵庫で見つけた時はウズラの卵だと思ったもんな。
「ああ、それ、小石だ。
あーと、近所の子供に貰った。
恐竜の卵だってさ。」
「ふーん。
恐竜って言うより、鶏の卵だな。」
ん?
にわとり?
「いや、それを言うなら、ウズラじゃねぇ?」
「ウズラの卵って八宝菜なんかに入ってるちっこいのだろ?
これはどう見ても鶏だろうが。」
友人が戻ってきた。
卵を片手に持って。
「はあっ?!」
お、大きくなってやがる、、、。
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