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五回目の“今度飲もうよ”の帰り道、私は駅前のコンビニに寄った。
リビングの電球が切れていたから、 買って帰ろうと思ったのだ。
慣れない電球選びに眉をひそめていると、千秋は言った。
「僕が替えようか?」
彼の瞳が私の内側を見つめている気がした。
秋の風を押し切って、彼を部屋に招き入れると、千秋は電球を床に置いて、私の身体をその両腕でがっちりと固めた。
年下の男の子の抱き締められて、ひとしおに、安心したのを覚えている。
ベッドのなかでもつれ合うと、なにか、手に入ったような、手に入れられたような、不思議な感覚に襲われた。
翌朝目が覚めると、千秋は床に脱ぎ捨てたままだった私のTシャツを着て、椅子を踏み台にし、電球を替えていた。
「ミカさん、みてみて。すごいでしょ。ちゃんと出来たよ」
千秋はそう言って、椅子を降りた。
私はおもわず、シワが寄った白の布地に、腕を回してみる。
笑顔がかわいい男の子は、私の頭を撫でて、私の背中を優しくたたいた。
彼の心に、熱帯魚のように棲みたい。浜辺でひろった貝殻入れて、おしゃれな小石も入れて。
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