勇者姫イルド

少女

魔物を統べる者がいなくなれど、魔物が消えるわけではない。
次代魔王になろうと力を蓄え強き魔物はいつまでも絶えない。
それ故、勇者姫イルドは強き魔物を討伐する日々に追われた。

それは、ただ淡々とギルドから受けたクエストをこなす日々。

胸の高鳴りなど無い冒険を繰り返す日々。
イルドは、うんざりした。
資金は潤沢にあり、冒険者が他にもいるからとイルドは普通を求めた。
そして、普通に人を愛し、普通に子をなした。
だが、やはり元勇者姫。
戦いから離れることができなかった。
子に物心がつき始めたころ、イルドは旅に出た。
またクエストを淡々とこなす日々に戻ったのだ。
最初は楽しかった。
久しぶりだったから。
けれどやはり、魔王を討伐しに行くときのような胸の高鳴りに出会うことはなかった。

イルドは戦いを止められない理由があった。

イルドは、魔王討伐の為の修行の際。
特異体質を手に入れてしまった。

”不死身”

魔王を討伐した20代の姿のままで永遠と時を生きる世に2人と持つ者はいないスキル。
そのスキルを手にしてしまったが故に、イルド専用の依頼も絶えない。

永遠と、続けるしかない。

不死身とはなんていらないものなのだろう。
けれど、手に入れてしまったからには仕方がなかった。