100回目のお見合い

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「失礼します。」 早川さんの向かいに座り、ワンピースを直す。 「今日は来て下さって、有難うございます。」 「いえいえ。」 こんな事言われたのは、初めてだ。 「では改めまして。早川奏です。マーケティング会社の社長を務めています。」 「大島小夜子です。実家は和菓子屋をしております。」 その時、鹿威しの音が、カコーンと鳴った。 「ところで、今回はなぜ、お見合いなさろうと思ったのですか?」 スピードの速い質問も、小夜子には慣れっこだ。 「私ももう28歳なので、婿養子を取って、両親を安心させたいんです。」
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