定期報告書No.58(2)

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と、まぁ。 そんな感じでエラルに助けられました。 あんまりキレーな顔してるから実は王子、とか言われたらどうしようかと思いましたが、幸いというか何と言うか違いました。 フルネームはエラル・ディシー・ヤルサライ。 ディシーは属している家の持つ称号だそうで、実際はエラル・ヤルサライが名前みたいです。 称号って何だよ、と思いましたが、どうも功績によって国から授かるモノみたいで。 この国の古い言葉なんだって。 ディシーは「冷たい」とか「冷静」とか「氷のよう」って感じの意味らしいです。 意外と熱いとこもある気がするけど、見た目は確かにそんな印象です。 数年前の隣国との戦争で、エラルの活躍が評価されて授与されたんだとか。 これからヤルサライ家に代々残る模様。 エラルは軍属で、役職はなんと将官。しかも少将とか准将じゃなく大将ですって。 や、まぁ軍の総規模が違うから、俺の記憶にある「大将」よりも持ってる隊の規模は少ないんですが。 ただ、階級的にはその位置みたいです。総大将の1つ下、5人しかいない将の1人。 彼、御年18歳ですよ! すげーなオイとしか感想がないですね。 ちなみにこの国では(この世界では?)、将官の階級名称としては上からジェニ、ウェニ、フェニ、スェニ、ツェニとなってるそうです。 尊称は名前の前に付ける文化なので、エラルはウェニ・エラルです。 エラルを知る人は大体そう呼んでます。 あとは「様」という意味でロマ・エラルとか、「殿」という意味でメイ・エラルとか。 え、俺?俺はエラルかロマ・エラルで呼んでますね。 あとどうやら平民は苗字ないらしいんで、俺はマキだけでいいやと思ってます。 町まで連れてってくれればほっといていいよって言ったのに、エラルは律儀に俺に部屋を貸してくれました。 でも最初の方は本当にやることがなくて、完全に穀潰し☆ ☆とか書いてますが、小心者の俺としましてはちょっと胃に来るよね。 せめて屋敷内の掃除とか料理とか、と思ったけど、仕事獲るなと言われちゃったし。 軍は身元不確か過ぎて入れなかったし。 なかなか上手くいかないものです。 ……これもまぁ、いつものことですが。
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