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俺は何度目かの橋中の問いかけにやっと気付いた。
いつの間にか渡りきっており、俺と橋中はビルの陰に立っていた。
少し涼しい風が頬をなで、大粒の汗の存在を強調した。
「朝日名、大丈夫か?」
汗を拭いながら俺の顔を心配そうに覗き込む橋中。
「あぁ……大丈夫だ。ちょっと、暑さのせいでボーッとしていただけ……」
白昼夢か。
俺はそれ以上気にしない事にした。
再び歩き出した俺等を、陰が追ってくるはずもなく、正午になり輝きを更に増した太陽がいじめるのであった。
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