錯覚…

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 俺達が入った店は、少し洒落た感じの小さな喫茶店で、クーラーが利いていて暑さから逃れる為にここにやってきたのであろう客が席を埋めていた。  かろうじて空いていた席を見つけ、腰を下しメニューを眺めた。 「橋中、お前はどうする?」 「アイスコーヒーとアイスクリーム」 「俺もそうしよう」  タイミングよくやってきた店員さんに注文をして、涼しい空気を更に送る為にまた団扇で扇ぐ。  と、さっきの店員さんの香水の夏をイメージしているのか、爽やかな香りが鼻をくすぐった。  注文してあまり経っていないが、頼んだものが運ばれてきた。 「お待たせしました」 「待ってないよ」  そんな相槌をうってみる。  彼女はフフッと笑いご冗談が上手いのですね、と言い去って行った。
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