1話 中華街に肉まんを買いに行く?

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1話 中華街に肉まんを買いに行く?

・サチエ(上牧祥絵) 16歳の高校2年生。紗英の恋人。相当程度、半導体趣味をこじらせている。 ・サエ(水無瀬紗英) 16歳の高校2年生。祥絵の恋人。ぜんぜん、半導体なんて微塵も知りません。 ・柳井のおじさん 柳井模型店店主。初老の男性。セル販売登録事業者。なんでもお見通し。 ■中華街にに肉まんを買いに行く? 「ねえねえ祥絵、横浜来たなら、ふかひれ肉まん食べたい食べたい」 「はいはい……」 「まいどありー」 「ねえねえ祥絵、おいひい、おいひい」 「はいはい……」  肉まん……も欲しいが、ここはいっちょ、折角、紗英と一緒に横浜まで出て来ているので、港の倉庫街に、砂のような半導体、セルを買いに行くことにした。  町外れの倉庫街にある、柳井模型店……模型店というよりは、貿易倉庫といったたたずまい。  ドローンが突堤をかすめて飛び、HOゲージの電車がめまぐるしくガラスケースの中のシーナリーの中で動く。そうして、今し方コンテナで届いた、舶来のセルが、まるでコーヒー豆の袋のように、いくつも積み重なって売られていた。 「おじさーん!」 「やあ、来たか。今日は彼女同伴か?」 「横浜行くって言ったら、肉まん食べたいって言い出して聞かなくて……」 「乙女……ほかほか入荷したての生セルじゃ。何袋買う? 何を作る?」 「そうだなあ……紗英の変身ごっこと、その洋服だから……1袋でいいよ!」 「乙女たるもの、もっとこう、宮殿とか、馬車とか、もっと夢のある大規模なものを……」 「そんなの、小学校の頃に作ってらあ。今は、紗英に役立つものを……」 「ふん、彼女が出来たからと言って、ませにませて来よって……じゃあ、コスプレ用のテクスチャデータをサービスしよう」 「ありがとうおじさん! じゃあ、宮前平の自宅まで送っといてー!」 「はいはい、毎度ありがとうな!」 「じゃねー」      ◇ ◇ ◇ 「ねえねえ祥絵、シウマイ食べたい」 「お前さあ、食べてばかりだなあ……太るぞ!」 「むむっ! なにを言うー!」 「……紗英ロボにしゃべらせてないで、帰るぞ、君のドレスを作ってあげる」 「え、本当ー? まーじーでー?」 「さっき買ったセルで、プログラミングするんだ」 「ふえー、なんだか難しそう……」 「ここじゃ、パソコンが無いからさ、宮前平に戻ろう?」 「えー、折角来たのにー? 電車代もったいないよ!」
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