数えることのない一段

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神社の下の通りを通る人もほとんどいなかったけれど、たまに何かの用事で同級生や近所の人たちと通りかかることがあると、皆、石段を見上げて、必ず「ひゃくだん、ひゃくだん」と、何か嫌な物を見たように言ってすぐに目をそらし、急いで通り抜けようとうながした。まるで、気を付けないと、何かの罰でその階段を上らされるという呪いに取り憑かれるとでもいうかのように。 おかげで誰も登って来ないというのは、わたしにとっては幸運だったので、人が「ひゃくだん、ひゃくだん」と呟いて嫌な顔をする時、思わず笑顔にならないように気を付けなくてはならないくらいだった。
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