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「…おい…。」
朝したのと同じのような不毛なやり取りをしたあと、再び裕太の手は敦の胸元へ差し込まれていた。混みは朝より緩和されているわけでもなく、なんならもっと密着していた。1つ遅いので帰ってもいいという敦の話は聞かず、裕太はわざわざこの時間帯、この車両に乗った。こうも密着していては誰も隣の人の手元なんぞ見ないだろうし見れるほどの余裕はない。2人は向かいあった状態で、裕太は敦の背中に片手をまわし支え、もう片方の手をスーツの裾から潜り込ませていた。鞄を持たされた敦に抵抗は出来なかった。
「…ふっ、…ん、ん、」
朝と同じように焦らされた後、親指と中指で転がすように摘まれている。
「敦、気持ちいいの?」
耳元でボソボソと囁かれる。正直その微かないきにさえ反応してしまい肩が揺れる。その反応を見た裕太は口角をあげた。これはどう?ここは?といちいち反応を確かめてくる。だが確かめるまでもなく、敦が1番感じる触り方を裕太は知っているのだ。つまんでいた手は離され、親指の腹が胸の中心にぴと、と当てられ擦るように上下に動かされる。
「んんんっ!」
触られているのはそこだけであるのに体全体に電気が走るように感じ脳が痺れる。肩ごとびくっと震え赤くなった顔を裕太に向け精一杯に睨む。
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