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「何だよ?朝からいるの何年振り?スーツで座って、怖いんだけど…。」
太陽がまじまじと父親を見ながら言う。
「いいから…座れ。いや…座ってほしい……。」
真面目な顔で父親が口を開いた。
怖々、前の椅子に座った。
「前もって言うけどさ…高校は第一志望、受かったよ?あと、悪い事はしてないし、怒られる様な覚えもないけど?」
「ああ、合格は聞いた。おめでとう。よく頑張った。悪い事などしてないと信じているし、怒ろうと思ってもいない。」
真面目な顔で冷静に父は言った。
「じゃあ、何?いつもなら仕事行ってる時間でしょ?」
「合格発表があるまでと思い、待っていたんだ。落ち着いて聞いてほしい。
父さんな…一年前からお付き合いしてる人がいるんだ…。」
「はぁ?いや……いいんじゃないの、別に。離婚してるのだし、大人だし?」
「うん、でな?再婚しようと思うんだ。会って欲しい。」
「えっ?」
正直……嫌だった。
男二人の気ままな生活に、この家に知らない女性が入る。
嫌だと思うと、嫌な気持ちは加速する。
それでも高校の間だけ我慢すればいいし、大学は一人暮らしする。
親父の事を任せると思えばいいと、考えを切り替えた。
卒業式の当日、仕事を休んだ親父とその流れで昼飯に行く事になった。
相手の女性と待ち合わせをしていた。
どんな相手でも、親父がいいなら受け入れよう…その時はそう考えていた。
3年…笑顔で耐えればいい話だ。
(人付き合いって、そんなものだろう?)
家族だって、一個人、元は他人だ。
そう考えれば、父親の再婚も自由で尊重されるべきだ。
卒業式を終えて、父親と店に向かった。
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