ファーストコンタクト

2/6
前へ
/183ページ
次へ
「何だよ?朝からいるの何年振り?スーツで座って、怖いんだけど…。」 太陽がまじまじと父親を見ながら言う。 「いいから…座れ。いや…座ってほしい……。」 真面目な顔で父親が口を開いた。 怖々、前の椅子に座った。 「前もって言うけどさ…高校は第一志望、受かったよ?あと、悪い事はしてないし、怒られる様な覚えもないけど?」 「ああ、合格は聞いた。おめでとう。よく頑張った。悪い事などしてないと信じているし、怒ろうと思ってもいない。」 真面目な顔で冷静に父は言った。 「じゃあ、何?いつもなら仕事行ってる時間でしょ?」 「合格発表があるまでと思い、待っていたんだ。落ち着いて聞いてほしい。 父さんな…一年前からお付き合いしてる人がいるんだ…。」 「はぁ?いや……いいんじゃないの、別に。離婚してるのだし、大人だし?」 「うん、でな?再婚しようと思うんだ。会って欲しい。」 「えっ?」 正直……嫌だった。 男二人の気ままな生活に、この家に知らない女性が入る。 嫌だと思うと、嫌な気持ちは加速する。 それでも高校の間だけ我慢すればいいし、大学は一人暮らしする。 親父の事を任せると思えばいいと、考えを切り替えた。 卒業式の当日、仕事を休んだ親父とその流れで昼飯に行く事になった。 相手の女性と待ち合わせをしていた。 どんな相手でも、親父がいいなら受け入れよう…その時はそう考えていた。 3年…笑顔で耐えればいい話だ。 (人付き合いって、そんなものだろう?) 家族だって、一個人、元は他人だ。 そう考えれば、父親の再婚も自由で尊重されるべきだ。 卒業式を終えて、父親と店に向かった。
/183ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1324人が本棚に入れています
本棚に追加