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目が覚めると真っ暗で、これが死というものかと思っていた。だが、次第に目が慣れてくると、天井が見えてきた。横には窓もあり、自分が眠っているのはベッドだと気付いた。
あの爆発ならば無事ではないだろう。どんな怪我や状態になっているのか、俺は自分に掛かっている毛布を捲った。
「ぎゃあああああああ、ぎゃああああああ」
これは、何であろう。俺が叫ぶとドアが開き、入ってきた看護士が俺を抱え上げて背を叩いた。
「泣かないの。大丈夫」
大丈夫ではないだろう。俺は改めて、自分の手を見た。自分の手は、まるで紅葉の大きさで、それなのに、しっかり爪があり手相まであるのが不思議なくらいの大きさだった。
「澤田……澤田」
「あら、言葉が喋れるのね。澤田さんがいいの?待っていてね。呼んでくるから」
俺はベッドに降ろされて、今度は自分の足を見た。この短い脚もショックだが、尻に違和感があるので触ってみると、紙おむつになっていた。
紙おむつは精神的ダメージが大きい。暫し、ベッドで嘆いていると、ドアが開いて澤田が入ってきた。
「夏目さん、目覚めたのですか」
「目覚めたではないよ。これは、どうなっているの?」
俺は爆破に巻き込まれて、死んだのではないのか。
「はい。ボロボロの肉塊になっていた夏目さを見つけました。でも、まだ生きていたので、助けようと思いまして……」
俺を予備電源で動いていた移管装置の中に入れて、分子レベルまで分解して、元通りに戻そうとしたのだが、途中で電源が切れたらしい。
「電源を入れ直せよ」
「そうしましたが、損傷が凄くて、使える肉片が少なくて少し小さくなりました。でも、完璧です!見てください」
澤田が鏡を持ってきたが、どこが完璧だというのだろうか。元の姿とは、かけ離れてしまっていた。
「……どこが、完璧?」
「見てください。ほら、窓を見て」
俺が窓を見ると、澤田が飛び跳ねて喜んでいた。
「室内だとアイスブルー、外の光でオーロラのように色が変わる目ですよ」
「完璧は、目だけ?」
澤田の興味は、俺の目にしか無かったらしい。
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