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相馬は部長室に入ると、机の上に俺を置いて、部下が買ってきた服を着せようとした。しかし、その服は水色のフリルのついたもので、あきらかに女の子用であった。俺が逃げようとすると、相馬が捕まえて俺服を着せた。
「可愛い!!!!!どうしましょう。これ、持ち帰ってもいい?可愛い!!!!!この白い髪には、白が似合うけど、目がアイスブルーでしょ。水色も似合う!!!!!!妖精みたいよね」
これでは話が進まない。相馬は、俺に何を聞きたいのであろうか。
「夏目、私の息子夫婦には子供ができない。養子にならないか?」
「俺は、元の姿に戻る方法を探します。だから、養子にはなりません!」
相馬は動画を撮ると息子に送信していた。そっと、送信画面を除くと、少しアルビノだが、欲しくないかと聞いていた。俺の意思を無視して、交渉している所が相馬らしいが、俺は携帯電話を蹴飛ばしておいた。
「相馬さん、呼びだしたのは、何か用事があったのでしょう?」
相馬は思い出したのか椅子に座ると、深い溜息をついていた。
「まず、夏目。夏目をこの姿のままで夏目とするのかは、この国の法律に当てはめると、死亡にするしかない。でも、私は交渉して、夏目として生きられるようにした」
公安として、俺は残ってもいいらしい。でも、それには条件が付いたらしい。
「ちょっとね、言い難いけどね、ちゃんと誰かの子供として育てろ、もう一度、学校に行けとも言われた」
公安の刑事と、子供という両面を持つというのは、かなりハードな生活だろう。
「それと、夏目の奥さん、美紗江さんに泣かれてね……自分の子供よりも幼い夫というのは、受け入れられないそうだ。そこで、離婚したいと言われている」
それは少し覚悟をしていた。俺は美紗江の子供ではなく、夫であったのだ。血の繋がらない夫を育てるなど、美紗江にはできないだろう。
「分かりました、離婚します」
これで俺は一人になってしまった。帰る家が無いうえに、自分一人で生活もできそうにない。でも、孤児院に入るのはもう嫌だ。
「暫くは、本村が一緒に暮らすと言っていたね。今日はゆっくり休んで、明日、事故の状況と、地下社会の関わりがあるのかを、チームに教えて欲しい」
詳しい話しは、チームにしろと言うが、俺が属していた第一公安部は、テロリスト対応だろう。
「ああ、夏目は、第九公安部に移動になっているから」
公安にそんな部署があるとは知らなかった。それに、どこに存在しているのだろう。
「三人しかいない部署だけど、皆、優秀だからね。平気でしょう」
相馬が高笑いしているので、ロクな部署ではないのだろう。だが、俺もこの姿では行動が制限されるので、文句は言えない。
「澤田さんも、ありがとうございます。家に帰っても大丈夫ですよ。警察が、しばし警護していますからね」
相馬は澤田の送迎を部下に頼んだので、俺も行こうとすると、がっしりと抱えられていた。
「可愛い!!!!!服を買いにいこうかな。天使みたいなのがいいな。それに、紙おむつとミルクも必要かな」
「……全部必要ありません。俺はパンツを買います。それに、ミルクは嫌いです」
そういえば俺は、乳製品が全て嫌いなのだが、この身体を維持できるだろうか。
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