第三章 青空は満開の桜の上 三

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 西園寺に連れられて、ATMに行くと、金を引き出す事が出来たので、嬉しくなってしまった。これで、パンツも購入できる。 「本村さんに怒られそうですね」  西園寺に、本村と知り合いだったのか尋ねると、昔、本村の部下として働いた事があるという。 「西園寺、そこの店に連れて行って」  俺は酒屋に入って貰うと、つまみを見て、スルメとピーナッツ、アーモンドなどを購入してもらった。酒も選んでみたが、それは却下されてしまった。 「流石に酒はいけないでしょう」  でも、ナッツの缶を開けてから、俺はとんでもない事に気が付いた。 「歯が生えていない……」  少しくらい歯があってもいい年ではないのか。まさか、一本も無いとは思わなかった。 「後でペーストにしますから、それまで我慢してください」 「分かった」  次にパンツを買いに行き、買い物カゴに入れたのだが、店員がやってくると俺を見て、まだおむつがいいと助言してくれた。でも、俺はパンツがいいのだ。西園寺を操作して、パンツとシャツを購入すると、早速着替えようとしたのだが、そこで又問題があった。 「男女平等では無かったのか……」  男性用のトイレでは、子供と一緒に入るようなものが無いのだ。それに、おむつの取り換えスペースもない。  西園寺が通路で俺を着替えさせようとすると、係員に注意されてしまった。 「まあ、通路でフルヌードはまずいよな」  では、ここで着替えるのは諦めよう。
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