第三章 青空は満開の桜の上 三

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「では、帰りますよ。本村さんが待っています」  パンツも靴も買ったので、明日は地面を歩いてみよう。体力をつけなければ、歩き回れない。  再び駐車場に行って思い出したが、又、荷台に詰め込むつもりだろうか。結構、ぶつかって痛かったと抗議しようとすると、本村の車が止まっていた。 「チャイルドシートを取り付けないと、違反になるからまずいでしょ」  本村は、俺を迎えに来たというのではなく、買い物に来たらしい。 「本村、チャイルドシートは俺が買うから、連れて行って」  俺が本村に手を伸ばすと、本村が片手で受け取り抱えていた。 「西園寺、ありがとう。俺、子供に縁が無かったから、脱水症になり易いとか、全く分からなかったよ」 「早く気付いて良かったです」  西園寺は、仕事があるからとバイクに跨った。 「夏目室長、明日、地下社会の事、教えてください」 「それは無理。俺は地下社会の出身で、言わずの掟を守っている。だから、殺されていない」  これは説明すると長くなるのだが、西園寺は分かったと引いてくれた。 「では明日!」  西園寺が俺に投げキッスをすると、走り去って行った。
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