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本村があぐらをかいて座り、俺を膝の上に乗せた。本村とは、寮などで同室になり、ある意味では一緒に住んでいたので、あまり気を使わない。でも、ここまで接近してスキンシップをしたのは初めてかもしれない。
「本村、上からの花見もいいけど、俺は桜の下から見たいな……」
「じゃ、行くか」
でも、その前にと、本村は買っていた荷物の中から、服を取り出していた。それは、小さな服で、誰のだろうと思っていると、本村が必死になって俺に着せようとしていた。
「あ、軍のジャンパーみたいだね」
「そう、ズボンも合わせて買ってみた」
でも、サイズがかなり大きい。そこで本村は服を着せるのを諦めて、うさぎのぬいぐるみのようなものに、俺を入れていた。
「……これは、何?」
「姉がね……注文していたのを、引き取ってきたよ」
俺に着せたら動画を送れと、脅されているらしい。でも、頭まですっぽりと包まり、着心地は良かった。
「ごめん、本村。歩くと時間がかかるから、このまま抱えて、持って行ってくれるか?」
「いいよ」
花見には酒だと思ったが、それは却下され、温かいスープを持った。本村は、本当に明日は仕事のようで、ホットコーヒーを持っていた。
「シートとタオルケットを持って、片手しか空いていないからさ。夏目、しっかり捕まっていてね。落ちないでね」
「了解!」
俺が本村の腕にしっかりと捕まると、本村が微かに微笑んでいた。
「温かいな……しかも、軽い……」
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