ゆめ2

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「私は、はてたって、さすがに、こすりつけるだけでいくのは難しいな」  奥村さんが動きを止めた。 「今日はここまでだ、ちょうど25分ほど経っているはずだ」  深いため息をついた。 「これは、俺の方が過酷かもしれない。お前、すげーいい匂いする。やばい」  奥村さんは、自分の服を持って部屋から出て行った。  深呼吸した。  今日は、最後まではなかった。次だろうか。  わたしの胸に触れた手は、奥村さんの物でもあり教授の物でもあった。  教授は、こんな風にして、奥さんに触れたのだ。わたしとそう年の変わらない奥さんに。  奥村さんがメジャーを持っている。 「Tシャツの上からで許してやろうか」  今からサイズを測られるのかもしれない。  椅子からおり、背筋をただすように言われた。  上から順に測られる。 「胸が少しありすぎるが、理想的なプロポーションだな」  今度こそ終わったかもしれない。奥村さんから小さな錠剤を渡された。 「ピルだ。毎晩渡すから飲むように」 「ピルですか……」 「効果があらわれる一週間後まで、挿入なしだ」  一瞬、良かったと思った。だが、その後はあるということだ。 「教授と奥さんの営みの記録は5年分。明日からは、三回分ずつこなしてもらう。それでも、一週間はいれずに終わる。奥手と言うか淡白というか。一回一回もあっさりしたもんだ」  奥村さんから水の入ったグラスを渡された。わたしも、奥村さんの子どもは望んでいない。ピルを飲めば、安心はできる。 「さあ、寝よう。教授に一緒の布団で寝て、より再現率を高めるように言われているからな。着替えは、朝に取りに行くから、少し早めに起きよう」  奥村さんの言うように、受け入れていくのが一番楽だと思った。
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