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いや終わるはずがない。
「高橋さん、あなたの弾さばきを見せて下さい!」
「確かに」
そう答えた高橋はジープの上から両手を大きく伸ばす。巨大な高橋の手が器用に弾の軌道を次々と変えていく。なんということだ。
旅人の高橋は旅人を自称するだけあり、弾の旅すらも変えてしまう。
ひとつひとつのマシンガンの弾はジープに当たってその旅路を終わらせるはずだった。しかし、軌道を変えられて旅の行き先変更を余儀なくされた弾達は、一斉に大仏および山本に向かっていくしかないのだ。
「畜生!逃げるしかない!」
さすが富豪の山本は逃げ足が早い。弾が当たる前に地下道の上へとロープで上がっていくのだ。マンホールから外の世界に戻る算段だろう。金持ちだけあって、計算がよくできている。
「大仏に時限爆弾をしこんである!てめえらはジープと共にその旅を終わらせるんだ!」
山本のその勝利宣言通りに、大仏から時限爆弾がチクタクなる音が聞こえてくる。
ジープは今から急ブレーキでバックしたとしても爆風に巻き込まれるだろう。
今度こそ、旅人の高橋および一座の旅は終わるのか。
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