924人が本棚に入れています
本棚に追加
/483ページ
私の話を聞いた鈴彦とお竜は頷きながら同情をしてくれる。
ほらね、やっぱりね。
私の常識は間違ってなかったのよ。
息巻く私を宥めるように背中を摩るお竜越しに顔を覗かせた鈴彦は、無表情ながらも心配している様子が窺える。
「しかし、次代が優先させた者とはいったい誰なのだ」
「え?」
「そうよねぇ。お屋敷で過ごすっていうくらいだから比和子も知り合いなのでしょう?」
言われてみれば誰が来るのか私は聞いていなかった。
でも玉彦と私の共通の知り合いって、大体は美山高校の同級生か鈴白村の人たちで、彼らは会おうとすればいつでも会えるのである。
私の知り合いじゃないとすれば、玉彦の大学時代の人ってことになるけど。
玉彦が大学時代の人と仲良くしているって話は聞いたことがない。
同じ大学に通っていた豹馬くんや須藤くんはそういう人たちとそれなりに親交があるみたいで、何かあれば、例えば結婚式の招待とかあれば二人を通して玉彦の耳に届いていた。
大学時代の友達は、三人の内誰かに伝えれば話が通ると知っているので、玉彦が嫌われているとかそういう訳ではないらしい。
「誰が来るのか知らない……」
私の答えに二人は顔を見合わせた。
だって玉彦の衝撃の予定変更からまともに話をせずに来てしまったのだ。
でもそれが誰であろうと私は納得なんてしない。
記念日の旅行をキャンセルしてまでなんて。
最初のコメントを投稿しよう!