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数ヵ月後、二人は町を出発した。長い道のりであったが、二人は無理のないペースを守って進み続けた。
途中、野犬の群れに遭遇したり、野営地の近くに盗賊が現れたり、危険に見舞われたこともあった。しかし、そのたびにミレイユが機転をきかせて、難を逃れることができたのだった。
そして、いくつもの山を越え、谷を越え、何ヵ国もの国を通った末、とうとう二人は東の森の手前までやってきた。それは大きな森だった。外からは全貌が窺い知れず、ただ生い茂る背の高い木々が見えるだけだった。
森の入口まで着くと、二人の別れのときがやってきた。
「ここまでしか行けず、本当にすみません。どうかお気をつけください。無事を願っています」
ミレイユは泣き出しそうな顔でゼットンの手をとり、何度も謝った。
「気にしないでください。私が無理を言ったことですから。なんとか手がかりを見つけてきましょう」
ゼットンは笑顔で別れを告げ、森の中へと入っていった。その姿が消えて見えなくなるまで、ミレイユは手を振り続けていた。
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