百鬼奔る!

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百鬼奔る!

顔を上げた百は視界の端に見慣れた絣の文様の背中を捉え飛び上がった。 「いけない!物思いに耽って三助さん見逃しちゃった!」 百は大慌てで漆塗りの下駄を脱ぎ両手にぶら下げて走り出した。 足が無いのが常道の幽霊に下駄が、とか。 幽霊の癖に漆塗りとか生意気だとか。 お年頃の鬼には鬼ならではの拘りが有るのじゃろう。 いちいち五月蠅く言うのは鬼をむくれさせるだけじゃ。 今時の少女にも、包帯を意味なく巻いてみたり、痛くも無いのに眼帯をしたがる者が居るじゃろう。 乳母日傘の成りたて鬼(もも)にその素養が有っても笑えまい。 もしかしたら昨今耳にする中二病とかいう者のはしりだったかもしれぬではないか。 読者の皆さん、彼女の事笑えますかの?
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