終列車

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 兄貴は死んでとうにいない。母さんはつい最近死んで墓の中。墓参りなんていつ以来行っていないだろうか。  俺だってハリーハリーと墓へ死に急ぎたい。旅立ってきみが那由他の数だけ広がっても、相変わらず僕はコスモの中でもがいたままだ。  やるせない夜は街路樹をアンテナにして、遠い星になったあの人にSOSを打ちまくった。計算出来ない悲しみの中、人の眼なんて一切気にせず泣きじゃくり一番良かった頃に帰りたい、なんてばかり願いながら――  あのときハルカに言いたかった。結局俺の物語なんて、俺の夢のかけらなんて、体のいい言い訳や逃げ口上で、書きかけの遺書をずーっとさらしてるみたいなもんなんだよ――そんないいわけをしたかった。
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