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イライラしていた。
むしゃくしゃしていた。
計算できない悲しみや口惜しさが込み上げ逃げるようにその場を走り去って掴んでいた手がいつまでも離れないことに苛立って「しつこいな!」と怒号を飛ばし曲がり角を過ぎたところでパッと振り切ろうと捕まれた手を振り上げようと振り向いたときだ。
「あ」
「あ」
目の前に立っていたのは、小さな子供だった。
「……お前だれ?」
掴んだ手の先にはいつの間にかハルカの姿はなく、しぶとくしつこく俺の手をずっと掴んでいたのは、小癪な顔したとてもちいさな男の子だった。
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