赤い痣

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赤い痣

A君人並みのイケメンで勤めも確りしているところだし、人柄もまあまあ平均的なのに女が近づいてこない。職場の上司や同僚が女性を紹介したりお見合いを勧めたりしているが、不思議なことに一向にまとまる気配が無い。A君の左首筋のところに薄赤い痣がある。それが何かの調子で人の目に映ることがある。なんと人の目にはキスマークに見えるから厄介なものだ。A君は知らないだろうけどキスマークを付けて出勤なんて無神経だ、女にだらしないと人の口に上っているそうだ。何度見合いをしてもまとまるわけがないのはこの痣のせいらしい。  ところが、叔母さんが持って来た見合い話、なんと丁度100回目の見合いがトントン拍子に進んでいるところでA君は嫌なことを耳にした。B子さんの首筋にキスマークがある。淫乱な女だ。A君が可哀想。B子さんを気に入っているA君は驚いた。悩んだ。悩み抜いたA君はB子さんの首筋を恐る恐るそしてまじまじとと見つめた。A君が見たのは何とA君と同じ薄赤い痣ではないか。A君は「俺と同じでないか。」と左首筋の痣を見せB子を抱きしめた。この痣のせいで縁が遠かったのはB子さんも同じだったらしい。二人は結婚をした。仲睦ましい誰が見ても羨ましい結婚生活の二人であった。 
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